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博物館経営の研究者のBlog.
研究を中心に趣味や日常などについても紹介していきます.

JMMA基礎部門研究部会〜The American Alliance of Museums: AAM〜
先日、日本ミュージアム・マネージメント学会基礎部門研究部会が東京都美術館で行われました。

基礎部門研究会では、今年度から3年かけて日本、米国、英国、アジア、ICOM等の博物館に関する理論や実践について議論し、ミュージアム・マネジメントの理論体系の再構築を目指します(すごい野心的でしょ!?)。平成24年度第2回となる今回は米国のAAMに焦点を絞った議論です。

基調講演(報告)はAAMの総会にも参加されたことがある三菱総研の松永様。筋道の立ったクリアな話の展開で非常によく理解できました。今回の主要なテーマは以下の通りです。

・AssociationからAllianceへ
  産業の上部団体としての位置づけから、連携による一致団結を示すような形か?
  名称も含めたAAMの変革は米大統領選の時期と重なり経済に強いロムニー候補の
  当選を意識した可能性も否定できないとのこと

・Advocacy
  ロビー活動に焦点を置く。日本の博物館界でももっと議論されなければいけない
  機能ではないか。

・Accreditation
  認証制度。米国に2万近くあると言われる博物館の中で認証を受けているのは
  4%程度。非常に厳しいが、それだけに認証されれば箔がつく。日本の登録制度
  とも比較検討する必要があるか。


全体の話を通して気になったのが、やはり米国の場合「経営的な側面」が非常に重要視されていること。認証制度でも施設管理、予算、将来計画等が厳しくチェックされるし、AAMの総会でも報告テーマのカテゴリー12分類中のほぼすべて経営的な要素に着目したものとなっている。


私は松永さんのAAM報告を受けて、①NPOマネジメントという側面から日米のミュージアム・マネジメント(MM)の差異、②経営学における各領域がMMの課題とどのようにリンクするかについてまとめ報告という形でお話させていただきました。

②は時間の都合上、割愛。会場のディスカッションが盛り上がり、まとめはそこそこにいたしましたので…(でもたぶんそうなるだろうと思ってました)。むしろ今回のコーディネーターである科博の亀井さんがうまく回して想定より時間があったぐらいです。

日本の博物館の大多数が公立館であるのに比べ、米国は私立館(NPO)です。私立といっても博物館は公益団体ですから当然公的な支援は受けていますが、組織形態が異なってきます。日本の場合は館長もそうですが、最終的な意思決定は設置主体である地方公共団体の首長です。米国の場合は理事会となります。

館長は内部昇進(業界の人間)が多い日本に比べ、米国では産業界とのパイプを持つ専門経営者がCEOとしてヘッドハンティングされるケースも少なくありません。

つまるところ、NPOが経営する米国の博物館の主眼は「健全な経営的自立」=Sustainability(持続可能性)の実現にあります。

ここが基本的に予算管理が主眼となる運営の日本と、収支均衡を図る経営の米国の大きな違いと言えます。このような組織形態の差異から私は比較的に類似点の多い英国等を参考にすることが
多かったのですが、やはり今回の松永さんの報告を聞いて勉強になるところが多いなと感じました。

やはり財務の安定性については喫緊の課題です。補助金も含む基本的な事業収益以外で経営を支える基盤となる資金をどのように調達するのか。調達先もそうですが、公立館の場合はどのように受け皿を用意するのか(この点についてかなり現場の方に質問されました)。問題は山積しています。報告の中で少し触れましたが、方法論はいくつかあると思っています。このあたりの話は一度しっかりと議論したいなと思っています。


うん、珍しく博物館いってきましたBlogではなく、研究者っぽいエントリーになったな(笑)

松永さんの話は本当に興味深い内容だったので、上記以外にもまだ知りたいという方は「いたずら描きしてるだけじゃなくて、ちゃんと聞いてたんだ!?」と驚くぐらいちゃんとレポートしてる奥本さんのBlogをご覧下さい。いつも私にちゃんとBlog書くように背中押してくれてありがとうございます(笑)

そうそうファイナンスの話をするとすぐ利益追求型と勘違いされてしまうのは困りますね。


では、今から車で羽田へ行きます。今日の午後は香港藝術館 Hong Kong Museum of Artsへ行く予定です。
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