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博物館経営の研究者のBlog.
研究を中心に趣味や日常などについても紹介していきます.

【再訪】越後妻有トリエンナーレ
といっても会期終了後です。


芸術祭を地域活性化のための文化政策と考えている場合、重要なことは会期と会期の間をどのように過ごすかに尽きると思います。

お祭りではあるけど、長期的な視野に立って芸術祭をとらえているか?

例えば地域のお祭りなどは、市町村合併や自治会の再編等で失われた昔のコミュニティがそのまま残されていたり、世代間の交流を促したり、土着の地域文化を継承したりと様々な利点がある。

芸術祭の会期中に人手がいるから急遽募ったボランティアたちは会期終了後どうしてるのか?ロゴをつけて作ったオリジナルグッズは?地元の事業者との連携は継続できているのか?などなどなど…

ここら辺について越後妻有はとっても先進的です。

グッズは商品開発段階から地元事業者とリスク分担しながらロゴをつけずに通年売ってるし、雇用を生み出してるし、会期終了後も楽しめる。


というわけで、わざと会期終了後に行ってきました。


また脱皮する家に宿泊です。

非常にプライベートなことだったので詳細は書けませんが、またここで地元の方との交流ができました。とても心温まる話で、再訪を約束してしまいました。

それにしても単純作業の繰り返しでもここまでのアート性を有する…やっぱりすごいです。二度目の滞在で新しい発見がいっぱいありました。人があまり歩かなそうな隅はまだエッジが利いてて他よりもかなり掘り跡を感じるとか(笑)


また朝の霧も見れました☆星峠の棚田です。

夜までけっこう雨が降っていたのですが、また出ちゃいましたよ、日頃の行ないの良さが!
今回は収穫後の棚田ということで前回とは少し違う感じを楽しめました。



それと今回は車で行ったので前回は気づかなかったいくつかの点がありました。

ひとつはこの「かまぼこ型倉庫」

キナーレにあるレアンドロ・エルリッヒ(あの金沢21世紀美術館のプールの人ですよ)の作品【トンネル】を見た時に「ふーん」とは思ったんだけど実感はできなかった。

でも自分が実際に運転して広い会場をグルグル走ってみると本当にトンネルと上の形の倉庫がいっぱい!やっぱり北川フラムさんの言葉ではないけど広い会場をヒーヒー言いながらまわってみてはじめて分かることもあるんですね。うんうん…

やっぱりレアンドロ・エルリッヒは面白い!トンネルの作品、ちょっとしたトリックもあるんですよ!


あとどうしても見たかったキョロロ!


写真がちょっと微妙だった…

時間帯的に逆光だったんですよ。アングルも悪いけどさっ!天気だって微妙なんだもん!(苦情は受け付けません)

積雪の高さによっては塔の部分を残し、雪に埋もれてしまうとこや、全体のフォルム・素材感など建築的に面白いところはたくさんあるけど博物館施設としてはどうなんだろ。

展示導線はあまり良くないと思います。行って帰って来いの同じとこ歩くのは別に悪いことではないけど、その導線が活きない空間のように思います。

ただ、ここはキョロロの森(バードピア須山)も含めた里山環境すべてが博物館として考えているようで、単に施設内の展示をみただけで善し悪しを語るわけにはいかなそうです。子どもと一緒に自然観察してみたいです。


日程的に研究日(平日)に行くしかなく、ろくに調べもせず「パーマネント・コレクションは会期終了後も見れますよ」との言葉だけで最後の教室みれるなとか思っていたら、施設型の作品の多くは土日のみでした(泣)

NPO法人越後妻有里山協働機構の方に挨拶がてら少しお話を伺った際に「管理人をしてもらっている方の多くがその周辺に住む農家の方なので、収穫期は土日しか関われないんですよ」という冷静に考えれば分かるような至極真っ当なお答えをいただき、ぐうの音も出なかった。


うんうん、地元の人が管理してるんだからそうだよね。無理をしない(これけっこう大切)。
↑そもそも会期終わってるんだし。


それから他にも見たかった作品をいくつかまわる。

これ実物は以外に大きくて、勝手に詩的なイメージを抱いていたので、ちょっとビックリ。
それとカーテンの下の部分がね、もうなんかね、ケバケバ(泣)
ほぼ無風だったので、ちと残念でした。


ポチョムキン

これけっこう楽しみにしてた作品です。「作家の文化的なごみ捨て場」という感覚までは共有できなかったのですが、現代人が自然の関係について考える場というのはうなづけます。

私は真鶴のまちづくりに関わって、その土地特有の伝統的な建築(だけじゃないけど)の在り方を踏襲することだけが良いまちづくりではないと思います。その地域の文脈を現代的に解釈することもありだと思ってるし、そういう意味でもこのポチョムキンは興味深かったです。

落葉の時期になってしまったので写真のような感じですが、会期中の夏に行けば、木々は青々として葉がないキレイな白い石が引き詰められたもっと無機質な空間を体験できたと思います。でも色んな季節の色んな景色を見れるのもパーマネント・コレクションの魅力ですよね。

まあ私は美学の研究者ではありませんので、作品の感想は素人丸出しで恐縮ですが、博物館経営的には興味深いところが満載です。里山現代美術館として生まれ変わった「キナーレ」、里山科学館「キョロロ」、「農舞台」、これら拠点となるミュージアムと広大な会場、人びとのつながり、そして会期と会期のつながり、この大地の芸術祭は本当に色々と勉強させてくれる先進事例です。もちろん良いとこも悪いとこもです。


また行きます。
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